豆で染め物

◎染める前の基礎知識

●植物染料とは
繊維の中に入り込んだ植物の染料成分(タンニン・フラボンなど)は、金属と結びつくと水に溶けない物質に変わり、洗っても落ちにくくなります。この働きを利用して繊維を染めることを「植物染色(vegetable dyeing)」と言います。

●ウール染色の工程
 職ブルの採取→染色液づくり
 毛糸の精錬→媒染           ⇒染色⇒洗い・すすぎ⇒乾燥

●染めに必要な道具
 ステンレスボール
 ホーロー製の鍋
 ステンレス鍋
 ポリバケツ
 はかり
 計量カップ
 小皿
 計量スプーン
 タイマー
 温度計
 菜箸
 木綿のこし布
 ゴム手袋
 木綿の手袋
 竹ざる
 ざる
 染料(黒豆)
 媒染剤(おはぐろ)
 助剤(酒石英)
 ウール

●媒染剤(おはぐろ液)のつくり方
a食酢500t
b古釘500g
c水500t
@aとbを用意する。
Acにaとbを加え、水が半分になるまで煮詰める。
Bそのまま、1週間から10日放置し、古釘をこして出来上がり。釘は再利用できる。
*繊維内部に入り込んだ染料を固定させ、化学反応によって発色させるのが媒染の働きです。
このときに使う金属塩を媒染液と呼びます。


◎黒豆染色(各材料はウール100gに対しての分量になっています。)

●ウールの前処理(精錬):そめむら防止
@玉巻きになっている物は60pくらいのカセに戻し、絡まるのを防ぐため何か所か8の字に紐を巻く。
A約40℃の湯に中性洗剤を10t入れる。(湯は3〜4lほど)
BAに15〜30分浸して脱水し、湯新井する。その後脱水。


●染料液をつくる
豆の場合、生地の重さの3〜4倍量の豆をそのまま湯(生地の重さの50倍の湯を半量ずつ1番液、2番液に使用)に入れ、加熱沸騰後、15分間煮出し、目の細かい布でこして1番液をとる。同様にして2番液を煮出す。


●おはぐろで媒染する:染料の固着
@60℃の湯500ccに酒石英(助剤:発色を助ける)を2g溶かす。
A4Lの湯に@を入れる。
BAにおはぐろ液30tを入れ、媒染液を作る。
C前処理したウールを湯になじませ、軽く水分を切る。
D40℃から50℃の媒染液にウールを入れ弱火で加熱。60分間で80〜90℃までにし、温度を維持しながら、さらに15分媒染する。
E媒染中は10分間隔でウールを上下に動かす。
Fざるにあげ、水分を切り、脱水する。
Gウールに風を通し、熱を冷ます。(毛糸のわを手にひっかけ、風通しよく)
H40〜50℃の湯で洗い、軽く水分をきる。


●煮染めをする
@染料液を40〜50℃にし、ウールを入れる。
A弱火で加熱。60分間で80〜90℃までにし、温度を維持しながら、さらに15分煮る。
Bざるにあげ、水分を切り、脱水する。
C風を通し、熱を冷ます。
D湯洗いして、脱水する。
E10分ソーピングした後、湯洗いして脱水。
F天日干しする。


参考文献:「草木染め 四季の自然を染める」山崎和樹 編著 山と渓谷社
       「草木染を楽しむ」林泣童 著 日本ヴォーグ社